
キャリー全盛の時代に、 “持つ旅” を選ぶ理由
いま、旅の道具の主役はキャリーケースになっている。
軽く、転がせて、どこへでも行ける便利さ。
けれど近年、ボストンバッグやトラベルバッグで旅をする人 が静かに増えている。
それは機能比較ではなく、旅そのものをどう歩くか という価値観の選択だ。

旅を“抱える”という自由
キャリーは転がす旅。
ボストンやトラベルバッグは、抱える旅。
肩に掛け、手に持ち、素材の温度や重みを感じながら歩く。
最短ルートよりも歩きたい道を、効率よりも自分のリズムを選ぶ旅。
その静かな自由が、再び評価されている。

車移動が中心の旅では、
ボストン・トラベルバッグが合理的になる。
いま、家族旅行・週末旅・温泉旅など、多くの移動が“車主体”になっている。
その場面では、
ボストンバッグやトラベルバッグの扱いやすさが際立つ。
• トランクに柔らかく収まる
• 荷室の形に自然に馴染む
• 出し入れがワンアクション
• キャリーの「硬さ」が邪魔にならない
車旅では、しなやかに積める旅道具の方が合理的だ。

旅館・和室と相性がいいのは、実は「トラベルバッグ」
旅館の和室にキャリーケースを上げたくない。
これは多くの旅行者が抱える感覚だ。
外を転がってきたタイヤを畳の上に置くことへの抵抗。
一方、ボストンやトラベルバッグは素材そのものが空間に溶け込みやすい。
革の落ち着き、布のやわらかさ、置いたときに生まれる静けさ。
日本の旅館文化に、最も馴染む旅道具。

旅の現実:駅には、階段が多い
キャリーの長所は“転がせること”。
しかし、その長所が使えない場所は意外と多い。
• 地下鉄の乗り換え
• 地方駅の跨線橋
• 観光地の石畳
• バスやトラムへの乗り換え
• エレベーター待ちの行列
キャリーは“持ち上げる瞬間”が旅の疲労に直結する。
ボストンやトラベルバッグなら、自然な動作で持ち上げられ、旅のテンポが乱れない。
旅のリズムを止めない。
それが最大の価値になる。

服部が“ボストン&トラベル”を大切にする理由
服部は革を核にしながら、布・合皮・機能素材まで幅広く扱うブランド。
素材の選択で、旅の性格が大きく変わる。
• 革は「旅の記憶」を深く刻む
• 布は「軽やかさ」を生む
• 機能素材は「行動の自由度」を広げる
いずれも共通しているのは、旅の時間(とき)に寄り添う“器”であること。
ボストンやトラベルバッグは服部の思想そのものであり、旅という体験に寄り添うための静かな提案だ。

カテゴリーの中の一例として “UG” が存在する
CROSSROD UGシリーズは、アンチキャリーを象徴的に表現したモデルのひとつ。
ただし、UGだけが特別なのではなく、服部のボストン・トラベル全体の中でひとつのスタイルを示した参考例にすぎない。
旅の距離、目的、素材、気分──選ぶべき形は人によって異なる。
服部はその選択肢を、誠実に、美しく、静かに広げていく。
旅は、どう持つかで変わる。
転がす旅も、悪くない。
しかし“持つ旅”には、風景と呼吸が重なる瞬間がある。
立ち姿が整い、所作が美しくなり、風景に溶け込む自分がいる。
そんな旅が好きな人に、ボストンバッグやトラベルバッグはよく似合う。
旅は、時間の器。
その器を何で持つかで、旅は静かに変わっていく。
服部のボストン・トラベルは、その選択の前室となる場所でありたい。




