リバーシ、それは卓上を彩る新たな技術と時間
盤の上に置かれる、もうひとつの時間
– Another Sense of Time, Placed Upon the Reversi Board –
日本の遊びと聞くと、こたつを囲み、自然と人が集まる風景を思い浮かべる人も多いと思います。
勝ち負けよりも、会話や間(ま)が先にある時間。
遊びは、団欒の延長線にありました。
このリバーシは、少し異なる時間の流れから始まっています。
イギリスで生まれた、静かな対話
-A Quiet Dialogue Born in England, Through Reversi –

黒と白の駒を裏返していくこの遊びは、もともとイギリスで生まれました。
向かい合う二人が、言葉を交わしすぎることなく、盤面の変化を見つめる。
駒が進むのではなく、盤の「状態」が塗り替えられていく。
サロンやテーブルを囲む、静かな対話の時間から生まれた遊びです。
日本に渡り、団欒の中へ
– How Reversi Found Its Way into Japanese Gatherings –

それが日本に渡ると、この遊びはこたつを囲む風景の中に入り込みました。
家族や友人が集まり、笑い声があり、会話の合間に盤がひっくり返されていく。
同じ遊びでありながら、イギリスと日本では、流れる時間の質が異なっていたのかもしれません。
豊岡と京都が出会うところ
– Where Toyooka Meets Kyoto Through Reversi –

このリバーシは、兵庫・豊岡で鞄づくりを続けてきた服部と、京都の デザインハウスKAZE との協業から生まれました。
豊岡は、実用を磨き続けてきた土地。
京都は、感性と文脈を積み重ねてきた土地。
どちらも伝統を持ちながら、同じ形を守ることより、技術を更新し続けることで今に至っています。
伝統を、進化させるということ
– Evolving Tradition Through Reversi and Craft –

ここで目指したのは、懐かしさを再現することではありません。
イギリスで生まれ、日本で育った遊びを、もう一度、日本の手仕事で受け止め直す。
牛革、杉、布、和紙、桐箱。
それぞれの素材と技術は、過去のためではなく、いまの暮らしに置かれることを前提に選ばれています。
伝統は守るものではなく、使われることで更新されていくもの。
服部とKAZEは、そう考えています。
遊具であり、空間の道具である
Reversi as a Tool for Play, and for Space –
このリバーシは、遊ぶための道具でありながら、使われていない時間も含めて完成します。
テーブルの上に置かれ、ふと目に入り、必要なときに手に取られる。
こたつの団欒とも、イギリスのサロンとも違う、もうひとつの距離感。
その間(あいだ)にある時間を、牛革と杉でかたちにしました。
つくられる数について
– About the Production of This Reversi Set –
関わる職人それぞれの制作環境の都合により、年間に製作できる数には限りがあります。
多くを並べるためではなく、ひとつひとつが、確かな時間を経て仕上がることを大切にしています。








