HATTORI STORY 第2章
素材は“時間(とき)を受けとめる器”
~革も、ナイロンも、布も、未来素材も~
素材を前にすると、職人の指先はほんの少し止まります。
その素材が、これから誰の肩にかかり、どんな一日を支えるのかを想像するから。
革、ナイロン、布、未来素材 ーそれぞれに違う個性を持ちながら、向いている先はひとつ。
“人の時間” を受けとめること。
服部のものづくりは、いつも素材から始まります。
1. 革 ~ゆっくり育つ“時間の素材”
革は、服部の原点であり、核にある素材です。
触れた時間の分だけ表情が深まり、使う人の歩くリズムや癖すら刻んでいく。
手の温度も、日々の動きも、すべてが艶や皺となって残る。
革は、作られた瞬間が完成ではなく、あなたと重ねる時間そのものが価値になる素材。
2.ナイロン ~現代の暮らしに寄り添い、季節で表情を変える素材
ナイロンは、軽さ・強さ・耐水性を備え、日常の「動く時間」を支える素材です。
そして職人は、この素材のもう一つの顔を知っています。
裁断したときと縫製したときで寸法が違う。
気温や湿度で、生地が伸びたり縮んだりする。
同じロットでも、日によって手触りが変わる。
科学的には「吸湿による寸法変化」。
しかし現場では、もっと生活に近い感覚です。
人工素材でありながら、まるで呼吸するように静かに形を変える。
3.布 ~日常のやわらかな時間に寄り添う素材
布は、触れた瞬間からやさしさのある素材です。
軽く、しなやかで、生活の中にすっと馴染む。
布を選ぶ人には、「軽やかに過ごしたい」という静かな願いが宿っています。
4.未来素材 ~未来の時間を守るための素材
未来素材には、2つの方向があります。
① 再生・循環素材──未来の資源を守る素材
再生漁網を原料の一部に使った素材は、ただの“エコ素材”ではありません。
防水性、耐久性、強度、しなやかさ──これらの特性はすべて、“未来に残せる時間” を守るための性能。
漁網は「SDだけの素材」ではなく、工業素材としての高耐久性の側面も持っています。
② 高機能素材(抗菌・抗ウイルス・防汚など)──未来の安心を守る素材
もうひとつの未来素材の方向が、生活の安心を守るための素材です。
抗菌/抗ウイルス/防臭/防汚/撥水/帯電防止/耐薬品/加水分解に強い素材──医療・宿泊・清掃などの現場でも求められています。
5.素材が違っても、向いている先は同じ ~すべては“あなたの時間”を支えるために
革は、ゆっくり育つ時間を。
ナイロンは、多用途に寄り添う時間を。
布は、日常の静かな時間を。
未来素材は、未来の誰かの時間を。
素材が違えば、支える時間も違う。
人の時間が、ひとりひとり違うから。
素材は、あなたの時間を支える“器”。
服部はその器を、これからも丁寧に選び続けます。
~あなたが “ものではなく、時間(とき)” を持ち歩けるように。
