HATTORI STORY 第1章 

~ものではなく、時間(とき)を持ち歩く。~

いい日も、つらい日も──そのままのあなたを受けとめる器
あなたが大きな成功をつかんだ日。少しだけ自信がついた日。そよ風みたいに気持ちが軽い朝。
そんな時は、かばんの重さも少し軽く感じられるかもしれません。
でも、人生にはうまくいかない日もあります。気持ちが沈む夜、涙がこぼれそうな帰り道、膝が痛くて一歩が重い朝。
そういう日こそ、かばんは静かにあなたのそばにいます。
多くを語らず、ただ形を変えずに寄り添い、あなたのその日の重さを全部受けとめて運ぶ。
かばんは、あなたがどんな日であっても「否定しない道具」です。

あなたの人生が刻まれていく道具
服部のかばんは、新品の姿よりも「あなたと過ごしたあとの姿」のほうが美しいと考えています。
角が丸くなるのは、あなたが毎日頑張って歩いてきた証。
革が柔らかくなるのは、あなたが触れてきた時間の積み重ね。
色が深まるのは、あなたの人生の変化が映し出されているから。
かばんは、あなたの記憶や感情の跡が映る道具です。
同じ型であっても、持つ人が違えばまったく違う表情になる。
その違いこそが、かばんを唯一無二の存在にしていきます。

静けさの理由は、あなたを邪魔しないため
なぜ服部のかばんは、控えめで静かな佇まいなのでしょうか。
それは、あなたの人生を邪魔しないためです。
派手な装飾ではなく、落ち着いたラインと、手に触れたときの安堵感。
主張するのではなく、あなたの雰囲気・生活・スピードに自然と溶け込むこと。
そのほうが、あなた自身の魅力がいちばん自然に立ち上がると信じているからです。
かばんは脇役でいい。けれど、最高の脇役でありたい。
服部のデザインは、いつもその想いを前提に組み立てられています。

豊岡の文化は「使う人が主役」という思想だった
日本一のかばんの産地・豊岡。
柳行李にはじまるこの土地の道具づくりには、もともと「使う人が主役」という考え方がありました。
道具は人の生活があってこそ価値が生まれる。
長く使われ、生活の跡が宿ってこそ、本当の良さが見えてくる。
服部のものづくりは、この豊岡の文化の延長線上にあります。
だからこそ、私たちは「見せるためのかばん」ではなく、「使う人の時間と一緒に育つかばん」を作りたいと考えています。

あなたの未来を運ぶための道具として
かばんは、過去をしまい込む道具であると同時に、これから歩く未来を運ぶ道具でもあります。
仕事へ向かう決意。
見知らぬ土地へ向かう少しの勇気。
誰かに会いに行く楽しみ。
しんどさを抱えながらも進もうとする心。
小さな変化や、まだ言葉にならない希望。
その全部を抱えて、かばんはあなたと一緒に未来へ進みます。

服部は、そんな「人生の伴走者」としてのかばんを、これからも静かに作り続けていきます。